ゼロス→ロイド
入ってくるな。
俺の中に入ってくるな。
どうしてお前が。
どうしてお前なんだ。
出会って間もない、熱血漢のお節介で田舎者。
俺のことなど、お前は何も知らないだろ?
そんなお前が、どうして俺の中に入ってくる。
奥の奥のほうまではいりこんで、そうして俺の中身はぐちゃぐちゃ。
今までの俺はなんだったんだ。
俺の、ようやく確立させた、俺自身の生き方はどうなる。
(「俺自身」ではなく「神子」としてのものなのかもしれないが)
(それすらもお前は無意識のうちに気付いてしまっている)
俺を、壊すな。
それはもう一種の懇願。
やめろ、これ以上は、頼む、もう嫌なんだ。
「俺」とは何だ。
答えは出ている、「神子」だ。
それをお前は、いとも簡単に覆してしまう。
「お前」は「ゼロス」だ、と。
偽りも何も見えてきやしない。
真っ直ぐにつたえてくるんだ。
俺はどうしたらいい?
…あぁ、もういいのかもしれない。
こんなことは考えるだけ時間の無駄だ。
答えはあった、見つめるのが嫌だっただけで。
俺は、ゼロス・ワイルダーは、その心は。
ロイド・アーヴィングという底なしの光に侵されてしまった。
焼き尽くされてしまった。
もう、どうする、ことも、できやしない。
2007.03.01