キョン古
例えば、張り付いたかのようなあのムカつく笑顔を消すことが出来るのならば。
俺は右手を強く握り締め渾身の力を込めて、あいつの左頬を殴りとばすだろう。
それで何かが変わるのならば。
しかし仮に俺が「殴らせろ」と一言告げたのなら、あいつは黙ってその頬を差し出すに違いない。
何も聞かない、何も言わない。
結局、何も変わらないではないか。
そして今日もあのムカつく笑顔を見ながら、俺の拳は、確かに力を込めたはずの拳は、弱弱しく解かれていくのだ。
もしかしたら、と思う心も、その他の可能性に潰され見失う。
そうして続いていく、ああ愛しい日常万歳!
2007.12.04