臨正→帝人
なんだか色々と麻痺してきてしまったなあと最近思う。
喜怒哀楽が心の奥底では確かに声をあげている気はするのだか、表に出てくるまでにどんどんすり減ってきて、たとえたどり着いたとしても薄い壁を越えきることが出来ない。
そのうち表に出てくることを諦めてしまった想いの欠片は誰の目に止まることなく沈んでいくだけのはずなのに、それを上手に拾い上げる男がいる。
ああ嫌になる。
この男の前では全て暴かれてしまうのだ。
捨てたいもの、いらないもの。
置いてきたはずなのに、忘れ物だよ?と親切を全面に貼り付けてて眼前につきだしてくる。
受け取るまでその手を引っ込めることをせず、にこにこ笑っていない笑みを浮かべ続けるのだ。
ほらほら早く両手で抱きしめなよ君の大事な大事なものなんだろう僕が届けてあげるよ君が忘れそうになったら何度でも
「だって僕は君のことをとてもとても愛しく思っているんだから」
触れられた部分から感覚がどんどん麻痺していくのに、痛みを感じなくなったそこを無理矢理切り開いて手を突っ込んでかき回していく。
拒もうとのばした手は届かぬまま冷たい机にあたった。
男の顔の向こうに重なる照明がひどく眩しくて目を閉じる。
これでいい。
何も考えなくてよくなるから。
思考させるのもこの男で、それをかき乱すのもこの男だ。
結局いいようにされているだけだと分かっているのに、どうしてだろう。
分からない。頭の中が真っ白で、そのまま身を委ねる。
わからない。
かんがえたくない。
なにも。
なにも。
2010.04.25