ルルーシュ+スザク
せめて、せめて、
あの時ああしていたら、こうしていたら
何度も考えるけれど
どうせ今を変えることは出来ないんだってことは
誰よりも自分が分かっていた
ユフィを探さなければ、そう思うのに身体がついてこない。
左目が疼いて疼いてどうにかなってしまいそうだ。
それでも、銃を持って駆けていってしまった彼女の後姿を思い返せば、そんなことを言っていられるはずもなく。
一歩ずつでも前に進む。
辺りは暗く、手で壁を探りながら足を前に出した。
立ち止まってしまえば全てに押しつぶされる。
予感でない、これは確信だ。
重い、重すぎる。
あの時から覚悟はしていたはずなのに。
あらゆるところから世界は己を潰そうとしてくる。
そう、分かっていた。
世界は決して
自分に優しくないモノなのだということくらいは
せかいのすべてはおれのてき
みかたはだれもいなかった
みかただとおもっていたやつもてきだった
涙なんて
出やしない
ユフィを探さないと。
スザクは惨状となった辺りを見渡しながら焦りがこみ上げてきた。
自分が気を失っていた間に何があったのだろうか。
彼女が日本人を殺す命令を出した?
そして彼女自身も殺した?
そんな馬鹿なことがあるはずない。
現状を把握することもままならないが、ともかく彼女を見つけないと話にならない。
ユフィと二人で話していたはずのゼロも姿を消してしまった。
もしも彼女の身に何かあったら、僕は…っ!
気持ちばかりが先走ってしまう。
アリーナに降り立つと辺りは本当にひどかった。
式典に参加していただろう日本人が血に塗れ、地に伏している。
あまりの数の多さに、血の臭いに、思わず吐き気がこみ上げてきた。
ユフィがこんなことを望むはずがない。
何故誰も分からないんだ。
あんなにも平和を愛し、共存を求め、道を示してくれた人なのに。
僕に生きろと言ってくれた。
好きになってくれた。
好きになることを許してくれた。
失くしたくない
ブリタニア軍のナイトメアに狙われ、スザクは観客席への入り口に身を滑り込ませる。
自軍に狙われることは、やはり辛い。
銃声が耳に残る。
自分を殺すよりも先にすべき事があるはずなのに。
やはりブリタニア人と日本人は相容れることが出来ないのだろうか。
その道を、困難な道を、どうにか進もうとしてくれたユフィを、僕は守りたい。
出る機会を窺っていると、奥から銃声が聞こえてくる。
まさかとは思うが、今は手がかりもなく。
銃を握り歩を進める。
今、とても、君の笑顔が、見たいよ…ユフィ…
銃声が大きくなってくる。
同時に断末魔の叫びも繰り返し繰り返し聞こえてきて、不安が膨らんで止まらない。
血の臭いが濃い。
こんな中に彼女がいるだなんて思いたくない。
…思いたくはなかったのに。
ユフィは
その中心で
微笑んでいた
「ユフィ!!」
どうして君はそんなところにいるの
2007.03.10