ミリアリア+アスラン
種運命にて。
何話か忘れましたが、アスランとミリアリアが会ってアークエンジェルとのコンタクトを取ろうとした場面の直後辺りのつもりです。
二人分の伝票を持って会計へと向かう。
彼女は自分の代金は自分で払うと主張していたが、男が払うのが当たり前だろう。
しぶしぶだが従ってくれたので、店先で待っていてもらうことにした。
彼女、ミリアリアのおかげで思っていたよりもずっと楽にアークエンジェルと…キラやカガリとコンタクトが取れそうで安心する。
彼女には感謝してもしつくしきれない。
まさかこんなところで再会するなんて思ってもみなかった。
---ディアッカの話題は出さない方がいいんだろうな。
さっきの反応には驚いた。
というか正直少し怖かった。
…上手くいっていなかったのだろうか。
自分が口を出すことではないとは思うのだが。
そんなこんなを考えながら会計を済ませ店を出ると、うつむいて何かを考えていそうなミリアリアを発見する。
若干話しかけづらいオーラが出ているのだけれど、そのままにしておいては先に進まないので勇気を出して話しかけようと息を吸い込んだら、ミリアリアの方が顔を上げて先に声をかけてくれた。
「ありがとう」
「いや、待たせてすまない」
「気にしなくていいわよ。いつか何かの形で返すから」
「…今回の事で充分だよ」
「そう?」
「ああ」
当たり障りのない会話をしながら歩を進めていく。
明日何とかキラと、カガリと、ちゃんと会話することが出来るだろうか。
前の時とは違う。
ちゃんと話して、想いを考えを伝え合って。
そうしたら分かり合えるはずなんだ。
目指す世界は、平和を願う気持ちは絶対に同じなのだから。
「…っちだから」
「え?」
どうやら考え込んでしまっていたらしい。
ミリアリアの声が急に耳に飛び込んできたような気がしてしまった。
きっとその前から声をかけていてくれていたのだろうに、申し訳ない。
「もう、聞いてなかったでしょ」
「あぁ…すまない」
「まっいいけど。私その角をこっちに曲がった所のホテルに滞在しているの」
「そうか、なら前まで送るよ」
「いいわよ別に。すぐそこだしね。じゃあ明日、さっきのお店で合流してからポイントに向かいましょ」
それに頷き軽く別れを告げ、ミリアリアがこちらに背を向けて歩き出すまで見送ってから、自分も歩き出す。
明日の事を考えると、幾ばくかの緊張を感じてしまうのは仕方のないことだろうか。
再び思考の波にのまれそうになったところで、背後からの呼びかけに気付いた。
「アスラン!…あの、その…」
「どうかしたのか?」
少し距離があいてしまったので、必然的に互いの声が大きくなる。
しかしミリアリアの様子がおかしい。
何か言いにくそうなことを言おうとしているようだ。
アークエンジェルの件で言い忘れたことがあったのだろうか。
それで大きな声が出せないのだろうと思い、彼女の方へと歩き出そうとすると。
「あの…その…元気、にしてるの…?」
俯いての言葉だったからはっきりとは聞き取れなかったが、多分そう言ったのだと思う。
一瞬意味が分からなかったが、歩を止め答えを返した。
「え、あぁ、まぁ見ての通り健康だが…」
それがどうかしたか、と続けようとしたら。
…ミリアリアの表情が一変した。
「あ、アナタのことじゃないわよっ!!!」
「は?」
「あーもういい!この話はなし!!じゃあまた明日ね!!!」
声を荒げてそう叫び、大股で去っていってしまった。
その背中には先程とは比べ物にならないくらいの「話しかけるんじゃねぇよオーラ」が出ていて、どうすることもできなくなってしまう。
---一体彼女は何を聞きたかったのだろうか…。
後にはあっけにとられてマヌケな顔をしたアスランが呆然と立ち尽くすのみ。
2007.05.13